普通の本屋を続けるために
2023年06月01日
第6回・作業マニュアル

前章までの問い合わせ対応と売場整理のマニュアルに続いて、ここではその他の開発したマニュアルの話をします。


【作業マニュアルとは?】

作業マニュアルは
「どこかのお店の誰かが実施している、生産性を上げるカンとコツ」
を採用して作成しています。
そして、どこのお店でも起こっている問題の、問題解決の打ち手となっています。
これは社外に出ても有効なソリューションですので、
「作業あるところにこの問題あり、この問題あるところにこの解決法あり」
といったものがマニュアルになっています。


【雑誌付録付け作業マニュアル】

第1章でお伝えしましたが、このマニュアルは、生産性向上の取り組みにおけるターニングポイントとなりました。
作業を写真と文章で起こし、ついには動画マニュアルとして作成しました。
・手の動かし方
・生産性を上げる配置
・作業負荷軽減のためのツール使用方法
そんなノウハウを用いています。
様々な店舗を回り、スタッフさんの作業を見させてもらうと、たとえ作業標準で定める手順でなくとも、正直ビックリするような付録付け作業に出会ってきました。
大げさでなく、踊るように付録を付けているのです。
しかし、大事なことは、そのスペシャルな手の動かし方に至るまでの期間をより短く、より習熟しやすいであろう手順を作業標準とすることです。
ここが大事なポイントです。


【雑誌抜き取り作業マニュアル】

発売日に向けて、前日や前々日にあらかじめ抜き取りを実施しているお店も多いと思います。
・朝イチにはその日発売の雑誌を品出しする
・夜の時間帯では抜き取りをして朝に引き継ぐ
というのがごく普通の作業の流れではないでしょうか。
恥ずかしい話ですが、この普通の作業の流れが成立していませんでした。
事前に抜き取りを行うこと自体、または、抜き取りにおいて見つけることができなかった雑誌を朝に引き継ぐことなくオペレーションを実施しているお店がありました。
こうした朝番スタッフと夜番スタッフのミスコミュニケーションも、現場の「あるある」なのではないでしょうか。
それを防ぐために、しっかり文章に起こしてルールにします。
ルールは気持ちよく働くためのものです。
そして時間も大事です。
・指示した人「いつまでやっているんだろう」
・指示された人「全部見つけるまでしっかりやらないと」
とならないように、かける時間を決めて、「ここまでやろう」と「ここからはしっかり朝に引き継ごう」を決めて、生産性を上げていきます。


【返品作業マニュアル】

どのお店でも行っているであろう「返品作業」のマニュアルを作成しました。
返品作業も個人によるバラツキが大いにあり、伝えるべきノウハウ、生産性を上げられるポイントだらけでした。
皆さん、新人さんとヨーイドンで雑誌の返品を箱詰めしたら、同じ箱数でより多い冊数を箱詰めできたり、同じ箱数を荷造りするのに半分の時間でできる、という自信がどのくらいあるでしょうか?
「雑誌や書籍は、サイズ別に仕分けをする」というのがより多く、そして速く荷造りするためのポイントではありませんか?
それらを用いて作業標準を決めています。
また、返品商品を置いておく棚がバックヤードにあるお店が多いと思います。
棚を用いずに二度手間を省いたり、目一杯詰めた文庫の返品の箱を運搬する際の作業負荷の軽減をしたり、といったことも作業標準として決めています。

さらには「1時間で3箱しかできていないのか......」なんていう経験もあるのではないでしょうか。
手順を決めて、時間を決めて作業する、やはり作業標準が大事です。


【客注管理作業マニュアル】

この問題もよく耳にします。
「この本のタイトル何て書いてあるの?」
「これ文芸書? 文庫? えっ、コミックなの?」
「お客様の名前何て読むの?」
「この数字は"1いち"? それとも"7なな"?」
「カタカナで書いてもらえって言ったじゃーん」
「これ発注してあるの??」
このような問題については作業標準として記録の仕方を改めて決め、文章と画像でしっかり明記しました。
また、大半のお店では「担当」として定期購読の管理や客注商品の管理を実施しているスタッフさんがいるのではないでしょうか。
お客様に直接ご迷惑をかけてしまう作業なので、少人数で管理されているのでしょう。
一方で、慎重になるあまり管理の方法が二重三重に積み重なっているケースも見てきました。
ルールを決めて管理することにより、品出し作業のパートでお伝えしたように「多能化」していく。1人あるいは少数のスタッフさんにかかる負荷を少しでも軽減していく。
こうしたことも目指したマニュアルです。


【配布特典管理マニュアル】

作業チェックに臨店した時に、スタッフの皆さんに相談されたことがきっかけで作成したマニュアルです。
「この特典はいつまで?」
「もう〇か月前の特典だけど?」
「特典ありますか?の問い合わせに対して対応に困るんですよ」
「カウンター内が特典であふれてるんです」
商品に添付するものとそうでないものを決めることによって、
・カウンターでの作業軽減
・特典として最大限にお客様にアピールする、
・しっかり管理を見える化する
といったことがポイントとなります。
皆さん、ここでお伝えしたことは、漏れなく毎日行っている作業かと思います。
ウルトラCはありませんので、1つひとつの作業を観察し、計測し、作業標準を作成して検証し、マニュアルを体系的に作成しています。

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