普通の本屋を続けるために
2023年08月03日
第7回・広める仕組み

前回までマニュアルの紹介をさせていただきました。
今回はそのマニュアルを用いて、取組みを広げる仕組みの話をしていきたいと思います。


【広める仕組み

マニュアルを作成することで、いわば教科書が出来ました。
今度は教科書を使って勉強していく仕組みが必要になりました。それが研修です。


【研修と言われても】

改めて、お伝えします。私は15年もの間、店頭にて作業をしていました。言ってしまえば、棚と、もしくは本とお話をしてきたような人間です。
マニュアル作りは良かったのです。
今まで疑問や問題だと思っていたことを、稼働調査や作業のモニタリングを通して、研究することができました。
なぜ時間がかかっているのか。それは
「迷うから」
「ルールが決められていないから」
「知識が不足しているから」
です。

動きというのは正直だと思います。
結果として、問題解決方法をマニュアルに組み込むことが出来ました。

今も定期的な店舗チェックで作業をモニタリングしていますが、何かスペシャルなことはないかと常に改善課題を探し目を輝かせております。


【研修】

話を戻して、研修です。
もちろん、研修なんていう大それたものを構築したことはありません。
ファシリテーターの経験もありません。
見る人によっては偉そうにしていたかもしれませんが、断定的に方法論を押し付けたこともありません。
が、勉強をして、見様見真似で研修プログラムを作成しました。

最初の研修は、遠慮なく意見を言ってもらえそうな(仲の良い)店長に
「実験に付き合ってくれ!」と参加してもらいました。
フィードバックをもらい、改善を行いながら実に最初の1年で24回(月2回)実施しました。

「研修しなければゼロ。想定した100%を伝えれば、参加者には積み上げ式で必ず成果がある」
と捉え、今ではポジティブにやっています。

では、その内容を簡単にお話しします。


【研修プログラム】

午前は作業のOJT、午後はOFF-JTです。
マニュアルの読み合わせ、質疑応答と実行計画作成を行います。
モニタリング、説明、実践の繰り返しです。
実践では必ずタイム計測を行い、標準時間を体感してもらいます。
皆さん必ずと言っていいほど
「本の作業をしていて時間を計られたことはない」と言ってくれます。

ここで「うぇぇ~」と思った皆さん、信じられないかもしれませんが盛り上がるんですよ。
特に雑誌の付録付けのパートでは、参加してくれた皆さん真剣にやってくれます。必ずと言っていいほど競い合いが生まれます。
「〇〇さんには負けない」
「店長より私の方が速いですね」
「待て待て本気出すから」
「ちょっと練習してからやろう」
「お店に帰ってからリベンジだ」
などなど。
いつも微笑ましく見させてもらうことになります。


OJT】

本の作業の研修ですので、
朝からスタートしたらまずは品出し朝礼のモニタリングです。
その後は皆さんがいつもやっている作業を、マニュアルの手順にそって実践してもらいます。
「雑誌〇冊ですので、〇秒で品出ししてください」
「メンテナンスは1スパン〇秒で実施してください」
「文庫の新刊が〇冊ですので、〇分〇秒で品出ししてください」
「文芸書の新刊が〇冊ですので、〇分〇秒で品出ししてください」
「位置について、よーい、ドン!」
とこんな感じです。


OFFJT】

午後はOFFJT、既に紹介したマニュアルの読み合わせを行います。
お昼ごはんの後の一番眠たい時間に、
普段座らない皆さんと座学を実施していきます()
質問への返答、疑問点の解消を経て、店舗での導入の計画をたててもらいます。

研修の回数を進めていくにつれて、プログラムが定まってきました。
定めたプログラムを通じて研修受入れ店舗数を増やし、全店の店長、社員、スタッフリーダーさんに参加してもらいました。
また、新任の担当社員や、新規オープンの店舗のスタッフさんにも参加してもらうための研修も実施しました。


【日々広げる仕組み】

今期は新たに三つの方法で、浸透活動を行っています。
これを最後にご紹介します。
一つは、集合研修が難しい中でオンラインでの研修を実施しています。
OJTのパートを動画で代替出来るように「動画マニュアル」を作成しています。

これは移動が伴わない分「参加者数を増やして実施できる」というメリットがあります。パソコンに向かって雑誌の付録付けをしている風景は秀逸です。

二つめは、オンラインでのマニュアルの読み合わせです。
・研修という形式で一日時間をとることなく、実施できる
・先にあげた取組みと同様に、参加のハードルが下がる
というメリットがあります。
新しく入社したスタッフさんへもとても有効で、今期は毎月実施しています。


最後に、オンラインでマニュアルの理解度テストも実施しています。
「テストがなければ勉強する人はいない」というの考え方のもと、リマインドする機会を設定しています。

生産性向上の取組みを始めて数年が経ちますが、
この状況下だからこその様々な改善で取組みを日々広げております。

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