このところ、企業から個人情報が流出する報道が増えています。一説には堅牢なはずのセキュリティが連続して破られたのは、AIを使った手口だからともいわていれます。
サイバー攻撃で情報漏えい急増、AI悪用で「短時間・広範囲に」...
会員ポイントが不正交換される「二次被害」も
企業・団体がサイバー攻撃を受けて個人情報が大量漏えいする被害が急増している。...急増の背景にAI(人工知能)の悪用があるとみられ、...。
(読売新聞オンライン 2026年10月7日)
企業のデータベースから情報が盗み取られている事件(個人情報漏えい)は先月の9月末から連日続いています。2026年9月25日~10月6日の間だけでも17件(※)が公表されています。
※(【個人情報漏えい公表した主な企業や組織】リスト:NHK調べ)
個人情報流出なぜ相次ぐ?"異様な状況"AI悪用可能性の指摘も
(NHK ONE 2026年10月6日)
今年の春、AI開発企業のアントソピック(Anthropic)、OpenAIから「自社のAIが外部へ脱出して企業のシステムに侵入していた」事実を相次いで公表しました。これは人間が細かく指示しなくとも、AIが自分の判断でセキュリティを破る能力を持ったことを意味します。
悪意のある人間にとっては、価値の高い情報を持つ企業に目星を付けるだけです。あとはAIがシステムの弱点を発見するのを待つだけです。![]()
システムの弱点(セキュリティホール)を見つけることはAIにはたやすいことで、たった数日で数十~数百ものシステム設計の欠陥を教えてくれるそうです。
あるIT企業は自社システムのバグ(欠陥)を見つけた社員にボーナスを出していましたが、AIを使って大量にバグ報告するケースが出て、報奨金制度を中止したそうです。しかも一社だけの話ではありません。笑えない話です。AIの能力はすでにIT企業が制御できない領域に達しています。
AIによるバグ報告が爆増したためGoogleがバグ報奨金プログラムを一時停止
(GIGAZINE 2026年10月5日)
ターゲット企業のシステム管理者権限をAIが取得してくれば、犯行グループはデータベース情報を自由に扱えるようになります。データの消去、ロック、転送、書き換え...。やりたい放題です。
企業システムに侵入されるということは、目には見えませんがその企業は犯罪者に乗っ取られたも同然です。
この事態を受けてデジタル庁は国民に向けて呼びかけを行いました。
相次ぐ不正アクセス受け、古川デジタル相がコメント
国民に3つのサイバー対策呼び掛け
古川大臣は、...なりすましや不正送金、詐欺などの二次被害につながる恐れがあると指摘。その上で(1)パスワードの使い回しをやめる(2)多要素認証を設定する(3)不審なメールやSNSに注意する──の3点を求めた。
(ITmedia NEWS 2026年10月6日)
「デジタル庁らしい適切な警告」と言いたいところですが、、デジタル庁は自らが提供する「ガバメントソリューションサービス(GSS)」が外部から侵入され、24万6000人分もの政府職員の個人情報を盗まれています。
同庁が不正アクセスに気付いたのは6月末~7月ですが、すでに5月から何度も侵入されていたとのこと。発表は今年9月でした。
個人情報24.6万人分漏えいか
デジタル庁運用システムに不正アクセス
木原稔官房長官は記者会見で「多層的なセキュリティー対策や24時間365日の監視体制の下で運用を行ってきたにもかかわらず、事案が発生したことを重く受け止めている」...。
(時事通信 2026年9月11日)
ニュース報道では最後に「現時点で悪用は確認されていない」、「流出した情報がこれまでに不正に利用されていない」との文言がよく出てきます。
その言葉、気休め程度にしかなりません。
盗まれた情報は闇から闇に転売されていくのですぐには犯罪にはつながることはありません。その間に情報の使い道が検討されています。場合によっては複数のデータベースを照合・統合して、より精度の高い個人ファイルが作られます。犯行に使われるのは「個人情報でお金を盗める」確信ができた時です。犯罪が露見するのは、お金が盗まれたあとなのです。
そしてどこの企業のどの漏えい情報から犯行につながったかなど誰も教えてはくれません。
顔写真、パスワード、保険証、マイナンバーなどがひも付けされた個人情報なら、運転免許証やカード発行なども可能になるでしょう。偽造カードもありえます。
個人ができる対策として筆者が思いつく対策は以下の通りです。
1)パスワードの変更。使い回しの禁止 2)利用頻度の低いクレジットカード、会員カードの解約、停止 3)カードの引き落とし明細は事前に目を通す。プリントアウトして毎月綴じておく 4)利用頻度の低い契約はいったん解約![]()
万全ではありませんが、この程度はやっておきたいもの。知らないうちに口座からお金が抜かれたり使い込まれる心配は少なくなります。どうすればいいのかわからないではなく、今のうちに対策をしておく必要があります。(水田享介)