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 2010年03月
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多くの人が一年中だんじりにたずさわって過ごす地域、それが大阪泉州。

だんじり.jpg荒々しく勇壮なだんじり祭り、危険な祭礼であるがゆえにその年の祭りを成功させるため、いろいろな段取りがあり、いろいろな話し合いがされる。そこには今の社会に欠けている昔ながらの地域のつきあい、人のつながりがある。
年をとっても幼なじみが集まってくる。近所には、面倒見のいいこわいオッチャンがいる。目上の者は年下の面倒を見る。以前普通に見られた光景が、この地域には根強く残っている。

「悪さしたら、だんじり曳かしてもらえへんぞ!」子供たちはこう言って怒られて、父のような一人前のだんじり曳きに憧れる。

そんな風に育ってきた泉州の人たちは、自然とその縦社会に自分の役割をもって入っていく。
『おれが行かな、だんじりは動けへん!』
そんな覚悟をもって泉州の荒くれ男たちは、我が町自慢のだんじりに集まってくる。
『おれが行かな!』といっても、みんながみんな統括のような仕事をするわけではなく、それぞれのポジションのなすべきことを粛々とこなし、そのパワーが集大成としての秋祭りで結実する。

 

この本をビジネス書として捉えると、そこに描かれているのは新入社員の子供たち、自分だけの
仕事を任された青年団、物事の進行に目を光らせ全ての要となる若頭、そしてその全てを統括
する年番や相談役。その会社が作り出すものは、参加者そして見物人両方からわき起こる喝采。

利益を追求する会社としてこういう会社が存在すれば、それは強い会社だろう。

 

この厳しい社会状況の中で特に思うのは、「おれが行かな!」という気持ち、そしてその気持ちを
持って自分のなすべきことを見失わずに仕事をする。社員全員がそう考えて仕事をやりだしたら、
それはものすごい力になり、その時会社という組織は最高の結果を作り出せるんだろう。

 

この本の中にこんなビジネス書めいた言葉はないが、そこに書かれていた人のつながりやその
人たちのための器としての町が、本来あるべき人間社会の一つの理想だと考えさせられた。
何もそれは新しいスタイルのものではなく、幼い頃によく見た町の風景だ。

 

こんな世の中だから、今の日本の大人たちは幼い頃みんなが見たであろうあの風景を思い出せ
ればいいのにと、社会のありかたまで考えてしまった。



ビッグウィル 阿倍野店
月形 智記

 

 

岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記

著者:江 弘毅
出版社:晶文社

ISBN:9784794966780
本体価格:1,680円


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