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 2010年10月
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2010年10月



むかしジュールという こねこがいましたハグタイム2.jpg
ジュールはせかいをまるごとだきしめたいとおもっていました

というなんとも魅力的な文からはじまる絵本「ハグタイム」を
私はかれこれ2年近く、家の中のもっとも目に付く場所に飾っている。
うっかりだれかをハグしそこねないように、ハグめいぼを念入りにチェックして世界中の動物をハグして廻るジュール。

日本では「誰にでもハグしてまわる」というのはピンとこない感覚かもしれないけれど、この本に描かれていることは、「握手する」「微笑みかける」などなどにも置き換えられる。要は「どんなに大事に思っているかを伝える」ことの大切さを教えてくれる絵本なのだ。

「この人のこういう感覚が好き」とか「なかなか会えないけどよく思い出す人」
とか「厳しくて怖いけど尊敬している人」とか、色んなところに色んな事で
大事に思う人がいる。そういう気持ちをちゃんと伝えられているかというと、
なかなか出来ていない自分がいる。
「あなたに会えてとても嬉しい」といううことを素直に相手に伝えられる人に
なりたいと思う。ハグが温かいのと同様に、気持ちを伝え合うことは人を温かくするものだ。

忙しさにかまけて心をこめずに人と話したり、身近な人と馴れ合いすぎて大事な気持ちや
感謝を伝えなかったりすることが続くと、間違いなく心は固く冷たくなる。
心が冷たくなると日常の色んなことがうまくいかなくなる。
そんなときに大事なことを思い出せるように、私はこの本をお守りとして飾っている。 

人間関係でクヨクヨしちゃう人には特におすすめ。好きな人に告白するのを躊躇
している人にも最適だ。お父さんお母さんならお子さんと一緒に読んでぎゅっと
ハグしあってほしい。

自分への、誰か大事な人への、贈りものとして、是非一度は手にとってほしい。絶対感動保証です!

株式会社 有隣堂
店売事業部 第二グループ
新百合ヶ丘エルミロード店
店長  門脇順子

書名 :ハグタイム
著者 :パトリック マクドネル
原著 :Patrick McDonnell 
翻訳 :覚 和歌子
出版社 : あすなろ書房
ISBN : 9784751525159
本体価格 :1,575円



この本は、「シューホフおじさん」からにじみ出る魂に感化さイワン2.jpgれ読みました。「シューホフ」とは、『イワン・デニーソヴィチの一日』の主人公。「シューホフおじさん」とは、昨年からわけあって共に働くようになった同僚のこと。
スターリンが生きていたころのソ連の強制収容所が舞台です。朝の五時から夜十時まで、囚人のシューホフを通じた一日が克明に描かれます。
目覚めは極めて悪い。体の隅々が痛い。病気ではないかと思い医務室に行くが、すでに作業免除の少ない席は埋まっている。冷めてしまった野菜汁をすする神聖なひと時もあっけなく終わり、看守に追い立てられてマローズ(酷寒。気温マイナス三十度)へ。シューホフの属する百四班に割り当てられた仕事は暖発電所の修理。シューホフには、熟練の石工として、壊れた壁の修復が課せられる。彼は、自分が囚人であることすら忘れてブロック積みに集中する。もっとモルタルだ!と叫びながら。モルタルは、すぐにマローズで凍ってしまう。汗を流し、班長のもとに一致団結し、いい仕事を一生懸命にする。
日は暮れ、疲れ切ってとぼとぼ「我が家」に帰還していると、右手に機械工場班が見えてくる。もう力なんか残っていなかったはずなのに、我先にと皆で励まし合って疾走。先に収容所へ着かれてしまったら、マローズの中で待たなければならないから。
本当に状況は過酷です。それだけでうつ病になりそうな。そうでありながら、随所に笑えてしまう場面が出てくる。夕飯にいち早くありつきたい囚人と食堂管理人が押
し合いへし合いするところなど。そしてシューホフの生き残るために研ぎ澄まされた技の数々
に感心する。
おがくずマットレスにパンを忍び込ませ、縫い合わせる。拾ったのこぎりの刃を、石で研いで
小刀にする。所持する自前の道具たちは、例えば小包を開けるための必需品となって、見
返りのソーセージとビスケットと角砂糖に変わる。自ら稼いだ食料を、お祈りしかできない
隣人に与える人間味を失わない。
貧相なスープをいただく一瞬。彼はとにかく耐え抜こうと、ただそれだけを思っている。眠りに
落ちる一分前、彼は今日一日幸運だったと神に感謝する。
収容所の一日の多彩な人々の語り、関わりによって、社会の有様を表現し得ている。生きる
知恵が凝縮されている。悪いこともいいこともすべて含まれている。ごつごつした文章も、読
み進めると宝石になっていく。
マローズから産まれた一冊。飢えた腹にしみわたる熱いスープのような本。これを読まない
で何を読もうと言うのか。どんなに厳しい状況にあっても、それらを乗り越える力を何度でも
汲み上げる。これで本体四百三十八円ですよ。読まなきゃ損です。

リブロ池袋本店
地図・ガイド担当  菊田 和弘


書名 :イワン・デニーソヴィチの一日
著者 :ソルジェニーツィン
出版社 :新潮社
ISBN :9784102132012 
本体価格 :460円


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