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 2010年09月
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2010年09月



気がつくと無意識のうちに「旅に出たいなぁ」と口ごちている。
最近特にひどいなぁ、と自分自身で少々情けなくなる。
取り急ぎ、ジュリア・ロバーツの『食べて、祈って、恋をして』を観に行くも、益々「現実は違いますよ!」
と改めて判子で印を付けられた気分になり帰り道にまた「旅に出たいなぁ」と口にしている。

空の冒険.jpg『空の冒険』は、今 映画『悪人』が話題の吉田修一の最新刊。
既刊『あの空の下で』と、どちらもANAの機内誌に連載された
短編小説とエッセイをまとめたもの。

そもそも私の中での吉田修一さんは、一瞬をきりとる表現が
とても魅力的な作家さんとして、大切なポジションにいる。
この2冊も、本当にその一瞬、一瞬を深く味わえる作品である。
主人公が過去に思いを巡らしたり、自分の生き方を見つめなお
したりするほんの数分を表した作品がある。
10ページにも満たない物語だが、全部を説明しなくても、その
奥にある思いやとまどいをすっと想像させるのだ。

また、『空の冒険』に収録されたエッセイでは、小説『悪人』が
完成してからその作中の舞台を巡った旅が記されている。
それまでは、取材として作品を執筆する前に旅をされることが
多かったのだが、この完成後の旅ではまったく違う感覚になったと綴られている。
小説家ならではのその感慨は、一読の価値あり。

「旅に出たいなぁ」と言いながらも、結局は自分が重い腰を軽くしていないだけ。
「これから、旅して来ます!」と言った時に、ジュリア・ロバーツも現実になるのだろう。
旅に出よう。旅に出る。
もちろん、この2冊を携えて。

今井書店 企画開発本部
津田千鶴佳


書名 :空の冒険
著者 :

出版社 :木楽舎
ISBN:
9784863240285
本体価格 :1,260円

書名 :あの空の下で
著者 :

出版社 :木楽舎
ISBN:9784863240087
本体価格 :1,260



判官贔屓。脱藩大名.jpg
オレのような、千葉県在住のベイスターズファンとしては、これほど身につまされる単語はない。

自他共に認める、ツヨソーで、エラソーな存在を見ると、その向う脛をケトばしたくなる。
(本当にケトばすと、タイヘンなことになるのでやったことはないケド)

で、この本の主役、林忠崇。
判官贔屓の見本みたいな人です。
幕末ファンの間では、わりと有名人なんですけど、佐幕の志に燃えて、旧幕臣が組織した遊撃隊と合流するため、藩主自ら、というか一藩丸ごと脱藩(こういうのも脱藩て言えるというのもこの本読むまで知りませんでした)、小田原だの会津だの転戦するも結局官軍に投降。

ここまででも十分ドラマチックだけれども、話はこれで半分。
賊軍ということで当然華族にはなれず、役人商家の番頭、神主と、職を点々するも、そこは
元トノサマ、長続きするはずもなく、ビンボーするわけですネ。
そんなトノサマを見かねた旧藩士達が家名復興運動を興すわけです。
(もちろん、一筋縄でわいきません)

嗚呼、なんとドラマチック!判官贔屓にはこたえる話じゃぁありませんか。
NHK大河ドラマにしろよ!

そういえば、この本に書かれている人も、読んでるオレも判官贔屓だな。

丸善 津田沼店
菅原 淳


書名 :脱藩大名の戊辰戦争 上総請西藩主・林忠崇の生涯
著者 :中村 彰彦

出版社 :中央公論新社
ISBN:9784121015549

本体価格 :714


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