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 2009年11月
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2009年11月



知らなかったことを知るって楽しい。でも勉強は嫌いである。政治経済、社会問題でも、日々疑問は生まれる。でも怠け者の故、学ぶまでには至らない。何でもネットで調べられる時代だけど、本当に自分の知識にするためにはやっぱり「学び」が必要なのに・・・
 
それを痛切に感じるのは初対面の人に会った時だ。自分の知識の足りなさのために話がひろがらなかった時などに、「今度会うときまでには勉強しておこう」と決意したりする。
「出会い」は学びを喚起するきっかけになってくれるありがたいものだなあと思う。
 
そしてもうひとつ。「学び」の気持ちに火をつけてくれる大切なものが「本」だ。
「面白そう!」となんとなく選んだ本が、好奇心に火をつけてくれたり、思いがけず勉強になったりするということは誰もが経験しているのではないだろうか。

私の場合、その筆頭にあげられるのが池澤夏樹さんの小説でカデナ.jpgある。大好きな作家さん。
「すばらしい新世界」(中央公論新社)では、環境問題や僻地の教育問題、電力、NPO団体、寄付などの国際問題などにとても興味が湧いたし、私をエコに目覚めさせてくれもした。しばらくは、「世界の貧困」やら「社会起業」やら、世界をよりよくするために現代人ができることを論じた本を読み漁った。
 「静かな大地」(朝日新聞出版)では、少数民族問題、日本の歴史etc。
 エッセイにいたっては、それこそ知的好奇心をくすぐる内容のオンパレード。
 最近刊、「カデナ」(新潮社)では、ベトナム戦争時代の沖縄を描き、近代日本のことをどうしたって知りたくなる。「サザエさん」のTV放送が始まった年、大阪万博でにぎやかだった年、日本にはアメリカ兵の軍逃走を助けるという形で、ひっそりと戦争に向き合う人たちがいた!興奮してしまう。

 
主な読書はビジネス書、実用書という方には是非、小説にも手を伸ばしてほしいと思う、
物語に引き込まれながら得た知識や「学び」は小説の情景とともに心に焼き付けられる。
 
また、書店のビジネス書担当としては、お客様の学びを応援する販売を心がけたいと思う。「この本を読んだら次は何が読みたくなるか」「一緒に買うならどれだろう」、入門と応用、類書の展開など、こればかりは怠け者の私でも日々勉強だ。
人は楽しむために書店に来てくれる。「学び」も楽しいものだから、「楽しみ」を応援するためなら結構頑張れそうな気がする。

有隣堂 ヨドバシAKIBA店
門脇 順子


書名 : カデナ
監修 : 池澤夏樹
出版社 :新潮社
本体価格 : 1,900円
ISBN : 9784103753070



 この小さな文庫本を、どこで買ったのか、いつ買ったのか、まったく覚えていない。
 でも、薄汚れつつ、今もここにある。
 一人で不安でさびしい夜、枕元に置いて眠った。
 そんな、僕にとっては、とても大切な本。
 何度読んでも新しい。今の僕の心が反射されるよ41pHePJgRGL__SS500_.jpgう。


あらしの後の花

兄弟のように、みんな同じ方を向いて
かがんだ、滴の垂れる花が風の中に立っている。
まだおどおどとおびえ、雨にめしいて。
弱い花はいくつも折れて、見る影もない。

花はまだ麻痺したまま、ためらいつつおもむろに
頭をなつかしい光の中にまた上げる。
私たちはまだ生きている、敵にのみ込まれはしなかったと、
兄弟のように、最初の微笑を試みながら。

そのながめで私は思い出す。自分が気も遠く
ぼんやりした生の衝動に駆られ、やみと不幸とから、
感謝しつついとおしむやさしい光に
立ち帰った時のかずかずを。


 再読してぐっと来た一遍を引用しました。
 著者のヘッセは、二つの大戦で激しく痛みました。ドイツに生まれながら、戦争反対を貫いたために。
 しかし時間は、彼が正しかったことを証明しました。
 その彼の心、態度が、数々の詩に凝縮されて現れています。

 現代もまた、見えない敵と戦っているかのようです。
 不況、格差、うつ病、自殺、殺人・・・。一歩間違えば路上生活という圧力。相手のはっきりしない、
 大きな不安。
 こんな時こそ詩が、もっと読まれていいのではないでしょうか。本の中でも詩は、最も心に近いと
 思うのです。そして心が、人を、社会を作っていくのではないでしょうか。見えない心に触れ、
 希望へ、成長へ、つながりへ促す言葉たち。それが詩です。

 ヘッセは、書店員から社会人を始めた。
 100年後、彼を真似た男が、ここにいる。
 僕にとっては原点であり、本の力をまざまざと感じさせてくれる一冊です。

 しかし残念なことに、この本は品切となっているようです。それでも、ふらっと立ち入った古本屋で
 出会うかもしれません。僕もそうして、たくさんの宝を見つけてきました。

 最後に、僕の勤めるリブロ池袋本店は、10月29日より、大改装を経てリ・オープンしております。
 どうぞお立ち寄りください。

 リブロ池袋本店
 人文書担当  菊田 和弘


書名 : ヘルマン・ヘッセ
監修 : 高橋健二
出版社 :新潮文庫
本体価格 : 400円
ISBN : 9784102001196



表紙の絵のように楽しく会話するということが意外に難しい。

   仕事・家庭・近所の付き合いなど常に私達は誰かと話をしている。長く付き合っている人とはさほどでもないのだが、場面場面においては本当に困ることがある。この本の「誰とでも無理なく話せる」のフレーズは永遠のテーマでもあるように思う。

本書には「雑談にはマニュアルを必要としない」「何を言っても許される」「思いや気持ちを最も素直にことばにできる」「責任も価値も問われない」といったことが書かれている。
多くの人はコミュニケーションに真剣に向かい合い、そしてたいがい悩みを抱いている。コミュニケーションの問題を乗り越え、いい信頼関係が築けたときに、初めて、いろいろな夢が実現に近づくのだと思う。

雑談力修正4.jpg


『日常のおしゃべりに大きなヒントがある』―――そんな素朴だが、とても大切なことに改めて気付かされる本だ。

今井書店 松林和幸


書名 : 雑談力
監修 : 武藤 清栄
著者 : 東京メンタルヘルスアカデミー・フレンドスペース
出版社 : 明日香出版社
ISBN : 4-7569-0694-X
本体価格 : 1500円


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