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 2012年07月
書店さんのおすすめ
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いつのころから広告コピーに魅了されている。テレビ番組の合間に流れる15秒のスポット広告・毎日通るホームの向こうにあるポスターコピー・通勤途中のつり革広告などな広告コピー2.jpgどおきてから寝るまでの間にほんと、さまざまな広告コピーが溢れかえっている。すごくそれは商業的であり、日常生活の中でのそれらは「意思を惑わす者」もしくは「必要の無い景色」として存在し、録画鑑賞時にスキップされたり、あるいはしゃれた落書きをされたりと、好意的に取られることは少ない。もちろん、好きな女優や俳優、もしくは最近は減ったが珍妙な動物が登場していると、面白がったり好意的に見たりはするが、それは非常にレアケースであり、ほとんどの場合は見流さ、聞き流されてしまうものなのです。

 でも、そんな不運の広告コピーですが、よくよく考えてみたら、その一瞬ともいえる存在に対しての作り手の思い入れは非常に高く、それでもって洗練されているのです。糸井重里は「おいしい生活」というキャッチを作り、抜群に知名度が上がり、サントリーウイスキーは広告コピーのおかげで瀕死の状況から持ち上がったので。

 さて、本題の本の紹介ですが、ここに書かれている広告コピーのカテゴリーはざっと「女」「男」「愛」「仕事」「人間」「家族」「毎日」「人生」に分けられます。
んで、なんか気がつきませんか?

そうなのです、ここにはほぼすべてが詰まっております。人生の縮図が広告コピーなんです。

たとえば、

「あなたが
いま辞めたい会社は、
あなたが
入りたかった会社です」

というコピーですが、このコピーは真理です。この言葉をうまく消化できた人は、安易に仕事をやめることは無いでしょう。また、コピーにはそれに見合ったデザインや、ライフスタイルも付加されており、それらがそれ以上の効果を示すものがあります。
これについてはいくらでもここで語ってゆきたいのですが、長くなってもいけないので省略させていただきます。

広告は人生であり、人生は広告である。悩んだときは、毎月何十冊も発行される自己啓発本でもいいですが、たまには広告コピーに救われてみませんか?

僕は、トイレの片隅にこの本をいつも置いています。それもまた気の利いたコピーになるのではないでしょうか?

大垣書店 ヨドバシ京都店
伊藤義浩


書名:傑作!広告コピー516 
編者:メガミックス
出版社:文藝春秋
ISBN:978-4167801748
本体価格:750円






自分でやったほうが早い病.jpg
 去年出た星海社新書は割とどのタイトルも自分にグッとくるものが多く、そ
んな中でまさにドンピシャだったのが今回ご紹介する『自分でやった方が早い病』。正に今自分が直面している問題だと思い、思わず買って熟読してしまいました。

 本書はタイトルにある、「自分がやった方が早い」病にかかり悪化するとどうなるのか、原因、処方箋、再発防止に向けてと章立てられて分かりやすく解説されています。

 確かに自分でやれば早く終わり、思った通りにすべてがうまくいきますが、それがいつまで通用するのか等々、読んでいて色々と考えさせられました。自分でやってしまうということは本書で言うところ、他人を信頼してないし、逆に信頼されていない証拠だということ。もちろん、それに悪意があるわけではないと思いますし、遠慮してしまう部分もあるのかもしれません。しかし、「自分がやった方が早い」病を乗り越えなければ、いつまでたっても仕事のスキルは自分しか上がらず、他の人に落とし込むことができない罠があり、自分が抜けてしまうと仕事が回らなくなってしまう事態が起こってしまうかも知れません。

 以下は自分に対する自戒の意味を込めて書きますが、冒頭で述べたように私も「自分でやった方が早い」病の一人です。まだ 完全に完治していません。そもそもなぜ自分でやってしまうか考えてみると、もちろん自分の思い通りにいくというのもありますが、人に教えたりするのが苦手なんだろうと思います。そういうことに気づくこと、考えることができただけでもこの本に出会えた事は大きな収穫でした。

 ではそれを乗り越えるためにはどうしたらいいのか?是非、本書を手にとって読んでみてください。

啓文堂書店 
久我山店

荘司 正之

書名:自分でやった方が早い病 
著者:小倉 広
出版社:講談社
ISBN:978-4061385184
本体価格:861円


 夏の思い出。その響きだけで、ひっくりかえりたくなるほど甘酸っぱい言葉です。 

 
わたしにとっての夏の思い出。台風が近づいている夜にした花火、全員寝坊して帰りの飛行機に遅れそうになった沖縄旅行、砂浜でした組体操(ピラミッドのいちばん上によじ登ったときの、友達のわき腹を踏んでいく感触!)、といった大人になってからの悪ふざけや、もっとさかのぼって、ラジオ体操の妙にあかるい音楽、学校のプールのきらきらした水面、朝顔でつくった色水、という子供の頃の断片も、どれもこれもすてきな夏の思い出です。

 
 この季節を振り返るとき、せつないようなくすぐったいような気持ちになるのは、どうしてなのでしょう。そして、あの頃は確かにたのしかったなあ、と、今年も夏は来るのにわざわざいつかの夏のことを思って遠い目をしてしまうのは、どうしてなのでしょう。

 
夏といえば楽しくて、あかるくて、そういうものだった、はず。それなのに今は、クールビズをどこまでやっていいかとか、化粧が崩れるとか、服のセールの開始時期がずれるとかずれないとか、八月になったらもう秋の売り場を考えようとか、それはそれで大事なことなのですが、それらをいつか振り返ってせつない気持ちになれるんでしょうか。

 
......あのすてきな、そこにあるだけで胸が躍るような夏は、一体どこへいってしまったのでしょう?

 
というわけで、夏らしい本を、とわたしが本棚から選んだのが『アーモンド入りチョコレートのワルツ』です。

 
そのなかの、「子供は眠る」という短篇は、まさに夏! ザ・夏! のお話です。このお話で、あのすてきな夏を再体験できる! かも!

 
夏休みのあいだの二週間を、毎年別荘で過ごすいとこ同士の少年たち。これまで最年長の章くんの言うことをきいて、泳いだり勉強したり、楽しく過ごしてきたけれど、今年「ぼく」は、あることに気づいてしまって――、というあらすじです。

 
気づいてしまったことで、すべてが変わる。もう戻れない。と言ってしまうと、厳しい現実の話、というかんじがしますが、そこは大丈夫です。森絵都さんの文章は意地悪なところがひとつもなく、かといってごまかすわけでもなく、優しいので、するっと受け入れられます。

 
このお話の「ぼく」のように、夏になにかが変わってしまうことは多いのかもしれません。なにかが変わってしまうからこそ、振り返ったときにはそこに未熟だった、変わる前の自分をみつけてくすぐったく感じ、もう戻れないことを思い知ってせつなくなる、のかも。

変わってしまう夏、一度しかない夏。
今年のことを振り返るときに、あー暑かったことしか覚えてない、とか、結局なんもしてない、とか思わなくていいように、ちゃんと遠い目をしつつせつない気持ちになれるように、ちゃんと今年の夏を、今を楽しみましょう。

ささおき書店 藤原 千代 

書名:アーモンド入りチョコレートのワルツ 
著者:森 絵都
出版社:角川書店
ISBN:978-4043791019
本体価格:460円

チョコレート.jpg


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