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自分の思考がダメ社員の思考が多かった。 読んで変えていこうと思えた。
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とても内容が分かり易く、数学的背景についても記されている為、教えるという視点からも理解が深まる1冊と
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 [049]戦費調達だったビール税。のん兵衛の戦時体制は今も続く
「できる!」ビジネスマンの雑学

[049]戦費調達だったビール税。のん兵衛の戦時体制は今も続く

 酒飲み、ビール党の皆さんは百も承知のことと思いますが、ビール代金のおおよそ半分(47%)は酒税と消費税です。早い話が国内で大瓶2本を飲むと、1本分はまるまる税金となっているのが、日本のビールです。

 明治時代、日清戦争(1896年)の頃から次第に酒税が引き上げられ、日露戦争前の1901年にはビール税が成立しています。漱石が『我が輩は猫である』を執筆した頃(1905年)、ビール好きの漱石は、小説の中や酒宴にもしばしばビールを登場させています。高級品だったビールが、庶民のお酒となるにつれ、軍費の一翼を担わされていった歴史が垣間見えます。

 では平和憲法の許、軍隊を持たないはずの日本でなぜ、いまだにこの税額なのでしょうか。
財務省の税制サイトを見てみましょう。

2015051302.jpg
出典:「酒税の税率」(財務省)

 ビールは「発泡性酒類」のことですので、1キロリットル当たり22万円が酒税となっています。
 大瓶一本が633ミリリットルですから、大瓶1本の税金求める式はこうなります。

 [633:百万ミリリットル=大瓶1本の税金:22万円]
   [A:B=X:Y] 内項の積と外項の積は等しいので、Xを求める式は X=A*Y÷B
 [大瓶1本の税金=633*22÷100=139円]

 100万ミリリットルから大瓶は約1580本取れますから、こちらの計算の方がわかりやすいかもしれません。
 [大瓶1本の税金=22万円÷1580本=139円]

 ちなみに350ミリ缶の場合、2857本取れますから、
 [22万円÷2857本=77円]

 ビールの税抜き価格が190円(参考文献より 2014年時点)と仮定すると消費税はこうなります。
 [(190+139)×8%=26.32円]

 ビール大瓶1本に占める税金の割合は、こうなります。
 [165(139+26)÷355(190+139+26)=0.466]=46.4%

 おおよそ47%が大瓶1本の税金となりますが、消費税が10%になるとさらに税率は上がります。
  [172(139+33)÷362(190+139+33)=0.475]=約48%

 消費税がビール本体と酒税の合計にかけられていることにお気付きでしょうか。これで計算は正しいそうです(参考文献より)。つまり、高い酒税にさらに消費税までかけるという税の二重取り状態なのです。

 一方で、清酒12万円、蒸留酒(21度未満)20万円、ウィスキー(38度未満)37万円。度数が1度上がると1万円程度の加算、とおおむね、アルコール度数に準じた税率となっています。

 ビールのアルコール度数は5%程度ですから、度数論理で行くとビール1キロリットル当たり5万円でいいはずですね。これだと税は4分の1以下。350ミリ缶で計算すると酒税は17.5円、小売り価格は60円も下がります。

  しかし、なぜかビールだけは度数論理から外されています。のん兵衛の皆さん、思い出してください。そのむかし、輸入ウィスキーはとても高額でした。ところが 諸外国、おそらくサッチャーさんといわれていますが、アルコール度数に応じた税率にしなさいとねじこんできたため、税率を調整したと言われています。

 平成24年度ではビール単体だけで6,155億円(酒税の45.6%)も納税しています。発泡酒を加えると7,210億円(同53.4%)と酒税全体の半分以上となっています。

2015051301.jpg
出典:「酒税の課税実績(平成24年度)」(財務省)

 これだけの財源を手放したくない財務省は、外圧がなかったビールだけは、そのまま据え置いたようです。しかも戦費調達という目的税だったはずのものが、今では一般財源に置き換わっています。

 いくぶん納得のいかないビール税ですが、最近になってようやく動きがありました。

チューハイの増税検討...低い税額、競争阻害
政府・与党は2016年度の税制改正で、チューハイにかかる酒税の引き上げを検討する。
 ビールや発泡酒などビール系飲料の税額を一本化する検討を進めるにあたって浮上した。安く飲めるチューハイへの増税に消費者の抵抗が強まることも予想され、年末に向けた税制改正論議の焦点の一つとなりそうだ。
 政府・与党は、チューハイは税額一本化の対象には含めないが、税額が突出して安くなれば問題が生じるとみている。税額の低さを狙ってメーカーが割安な商品開発を繰り広げ、健全な競争を阻害してしまう恐れがある。また、「アルコール健康障害対策基本法」が14年に施行されており、酒の飲み過ぎや未成年の飲酒といった問題を防ぐためにも一定の増税は必要として調整を進める。
ヨミウリ・オンライン 経済 2015年5月11日掲出)

 350ミリ缶で77円の酒税を55円程度にするようです。先ほどの財務省の税率から計算すると、1キロリットル当たりで22万円が19万2000円にしか下がらないことになります。何とも根拠のない税率変更ですね。さきほど書いた度数論理に近づけてほしいものです。

 わずかな値下げの一方で、発泡酒・第三のビールは値上げしたいそうです。その理由が未成年の飲酒防止、酒の飲み過ぎを防ぐためとか。若者は飲酒の習慣がなくなっている今日び、理由になっていませんね。

 飲み代の戦費調達に苦労しているのん兵衛たちに向かって、飲み過ぎ防止のため値上げしたいとは・・・。大きなお世話と言いたいですね。(水)

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参考文献:FactBook「日本のビール・発泡酒・新ジャンルと税」
ビール・発泡酒についてより詳しく知るには:
ビール酒造組合ホームページ

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