ポプラ社会長 「故 田中治夫」さんに感謝をします。
明屋書店の創業者である安藤明さんの経営や生き様を書き記した書籍があるのが判ったのは、明屋書店創業60周年記念のお祝いの席でのこと。挨拶をされたポプラ社の坂井社長が「うちの田中が安藤さんのことについて書いた本を出していたのですね。よく読んでみるととてもしっかりしたよい本だ」と紹介したのが始まりだった。その本が気になったものの、その後の宴会の楽しげな雰囲気にすっかり飲み込まれてしまいました。
5月になり明屋書店の安藤大三社長様から書籍が送られてきた。
「踏んでもけっても」というタイトルの本で、先日の会場で坂井社長が話した書籍だった。
時代を感じさせる装丁、読み込むのに少々難を感じる分厚さ、活版時代の香りのする印刷面。読破に時間を要すると瞬時に判断できた。
移動の合間に読み始める。
経営は「人・物・金・情報」といわれるが、その極意のすべてが書かれている気がした。労働争議、出店から安定期を迎えるまでの混乱苦悩の日々、不良債権の回収、裏切り、喜びと笑いあり・涙もある。さらに言えば人生の極意も感じ取れる。
「社長は非情であれ」というくだり、「人を動かすには心を動かすこと」など経営者として必要な考え方も書かれてある。これまでに読んだことのないとても面白い内容の本だと感じた。私が生まれた同年同月に発刊されていることにも勝手ながら親近感を覚えた。
残念ながら現在は手に入らない。
とても貴重なこの書籍は、今後も読み返すつもりで私の席の傍らにおいてある。
【日本書店大学でお世話になった田中治夫様の在りし日を偲び】