「11ぴきのねこ」という超ロングセラー絵本作家であった馬場のぼる先生の展示会へ行ってきました。先生は10年前に亡くなっており、今回は没後10年記念展となります。7/15~8/18の期間で銀座にある教文館さんで開催されております。詳しくは⇒こちら
ここ2年ほどキャンプによく行きます。初めての時はキャンプに行くというよりも喧嘩、怒りに行くようなものでした。「もっとロープを張れ!」「バカ、そこじゃない。こっち、こっち!」と罵詈雑言に近い口調です。子供の教育も兼ねてなんていう思いはどこかに消え、テント張り、タープ張りでクタクタになったものです。キャンプへ行くと子供の躾の出来具合に目が行きがちです。現地で出来たお友達と「さーっ」とどこかへ消えていき、言ったことを守れないという具合で、いちいち気になっていたのです。
展示されていた「11ぴきのねこ」を手に取ります。展示されている絵本をすべて読みました。目から鱗です。子供に対していちいち気なっていたことは非常に馬鹿げたことでした。馬場先生は「ルールは守るべきではあるが、破ってみて判るルールもある」「子供に対しての世間の目が厳しすぎ、そして親もそれに翻弄されている」と伝えているかのようです。
「11ぴきのねこ」のストーリー
11ぴきのねこが小さな魚を11個に分けて食べます。続いて大きな魚が食べたくなります。話を聞いてやってきた海で大きな魚を発見します。最初はその魚にこてんぱにやられます。その魚は「ねんねこさっしゃれ」を歌う優しい魚でした。次の戦いもねこの負けです。・・・、ある夜、島で寝ている魚を発見しました。ねこは魚の周りで「ねんねこさっしゃれ」の歌を歌いました。魚はグーグーいびきをかきます。そしてついにねこは魚を捕まえることに成功します。魚を船でひっぱって帰ることにしました。「港に着くまでは食べないようにしようね」ねこたちは約束をします。でもねこたちは皆よだれを垂らしてこらえています。真っ暗な夜がきました。そして朝...、なんと魚は骨だけになっていて、ねこたちのお腹はパンパンになっているのでした。~おしまい~
「むっ、この絵本、奥が深いぞ」と感じます。大きいかいぶつと言われている魚は何も悪さをしていない、ねんねこさっしゃれを歌う優しい魚です。食い意地の張ったねこたちの欲望の罠にはまって命を落とすのです。しかもねこたちは自分たちで決めたルールも守れないのです。「子供ってまさにそうだよな~」と思います。親からすれば「ああ、なんて残酷なことをするのだろう」というところもあります。ルールもなかなか守れません。
シリーズ3作目も紹介して終わります。
「11ぴきのねこ ふくろのなか」のストーリー
リーダーねこを先頭に11ぴきのねこが遠足にいきます。途中でお花畑がありました。「はなをとるな!」という立て看板がありますが、ねこたちは「1本くらいいいだろう」とお花畑へ入ります。リーダーねこが「やめろー」と言ったのですが聞きません。とった花を頭にうれしそうにたてました。リーダーはうれしくない顔をしながらも列の一番後ろでとった花を頭にたてました。橋が出てきました。「きけん!わたるな」とありますが、笑顔のリーダーねこを先頭に皆で渡ります(あれれ、さっきは止める側にいたはず)。大きな木が出てきます。「木にのぼるな!」とあるのに、笑顔のリーダーと一緒にのぼりました。木のそばに大きな袋がありました。「ふくろに入るな!」とありました。でも皆で入りました。それは化け物の仕掛けた罠でした。11ぴきのねこは化け物屋敷に連れて行かれ重労働をさせられます。ある時、知恵をしぼったねこたちは一計(ここが面白いです)を案じて化け物をやっつけました。帰り道に大きな道にぶつかりました。立て看板にはこうあります。「わたるな!」と。ねこたちは傍にある歩道橋を渡りました。~おしまい~
ルールを守らせようと必死になることが果たして良いのかどうかという迷いが生じました。「親があれこれ言うな!自分で問題に頭をぶつけてみて初めて子供は心から気が付くもの」と教えてくれているように思います。世の親御さん!教育は熱心過ぎるとそもそもの本質を見誤ってしまうものである。と、この絵本が教えてくれた気がします。受験を控えた息子達への接し方において「やらなかったらわかってるだろうな~」という脅迫的な態度で臨んでしまっていないかと反省をしました。
ぜひこの展示会にお越しください。張りつめた教育観を解きほぐしてくれることでしょう。






