出版社へ送られてきた企画書がどのように扱われているかを少しだけ書きます。これから書くことはあくまでも弊社でのケースです。
日本には出版社が数多あります。専門書版元もあればコミックや雑誌版元など
種類も多彩です。私どもが位置する場所は専門書と一般書の間ともいえる場所。
最近は総合版元なる出版社が多くなってきており、出版社のカラーが分かり難く
なってきていますし、どこに位置している出版社なのかがわからない版元が増えている最中でもありますね。それでも我々は変わらずビジネス書と語学書しか出版しておりません。(かつてはコンピュータ書も出していましたが2002年完全撤退)
さて、自社の出版物が出来るまでを見てみます。概ね3パターンあります。自社企画、持ち込み企画、共同企画であり、その内95%以上が自社企画という事になるのでしょう。自社企画についてはまたの機会にということでここでは触れません。
持ち込み企画は毎月数十点に及びますが、大手になるとその数は、二乗、三乗されるほどに増えるものと思います。私どもでは持ち込まれた企画書を適正に管理するためにDB登録をいたします。いつ誰が持ち込んだ企画かということが判るよう、企画書返送する際に紛失や誤発送のないよう、いつでも連絡が取れるようにしております。
続いて預かりました企画書に対して編集パースンの所感を取りまとめます。
ビジネス書の企画書はビジネス書編集タスクに、語学書の企画書は語学書編集
タスクへ回覧されます。
企画書の対して簡易判断されるといことはなく、各人よりコメントが必ず寄せられ
ます。そのコメントから類推するに以下のような方の企画書は通らないということ
になるのでしょう。恐らくどこの出版社でも同じような判断はされているかと思い
ます。
1、以前送付されたものと同じ企画書
2、小説や私史などそもそも扱っていないジャンルの企画書
3、専門知識だけが光っている企画書
4、どこかの出版社と同じような企画
5、現場の風を感じていない企画書
6、実体験をしていないのに知識だけ語っている企画書
7、ブログで既に公開されている内容そのままの企画書
8、パワーを感じない企画書
特に8は、「パワーっていったいなんだよ?」って突っ込まれそうになりますが、これは得体の知れないもので説明も出来ません。でも見ると「あれ?面白いね」という感覚になる時があるという事です。でも、だからと言って必ず売れるわけでもありませんが...。あるんですね、得体のしれないパワーというものが。(企画者の気迫ですね)
ビジネス書の場合は8名で、語学書の場合は5名で企画の判断をさせていただいております。ですので最大限の力を使って判断をさせていただいているわけであります。
出版を前提に話を進める際には印税率などの条件を確認をさせていただきます。弊社では企画条件が合わず他社さんから出版され、そして売れている書籍もあります。そんな時は「折角の企画に対して条件交渉を要請してすまない!」と企画立案してくれた編集パースンの背中を拝みます。
自社企画であろうと持ち込み企画であろうと出版の機会を与えてくださる著者の先生方には感謝をする次第です。また、これからも出版をしたい人に対して、出版する機会につながるように努力をいたします。
石野社長様、
いつもブログ楽しく拝読しております。
今回の日記、書籍執筆を行う著者としてとての参考になります。
そして、御社内で企画がとても大切に検討されているプロセスを知り、嬉しく、大げさではなく、少し感動しました。
また新たな企画を立てた際は、お持ちさせて頂きますので、その際は、どうぞ宜しくお願いいたします。
太期健三郎拝